行動経済学や統計学の知識を駆使して書かれた名著ブラック・スワン
2006年にナシーム・ニコラス・タレブというトレーダーが書いた著作「ブラック・スワン」が世界的なベストセラーになりました。行動経済学、心理学、確率、統計の知識をもとにして、市場や人間の認識に対して深く新しい洞察を披歴したからです。そのタレブは、ブラック・スワンの中で、「バーベル戦略」を採ることを推奨しています。「バーベル戦略」について書かれた箇所を引用してみましょう。
バーベル戦略とはこんなやり方だ。黒い白鳥のせいで、自分が予測の誤りに左右されるのがわかっており、かつ、ほとんどの「リスク測度」には欠陥があると認めるなら、とるべき戦略は、可能な限り超保守的かつ超積極的になることであり、ちょっと積極的だったり、ちょっと保守的だったりする戦略ではない。「中ぐらいのリスク」の投資対象にお金を賭けるのではなく、お金の一部、たとえば85%から90%をものすごく安全な資産に投資する。たとえばアメリカ短期国債みたいな、この星でみつけられる中で一番安全な資産に投資する。残りの10%から15%はものすごく投機的な賭けに投じる。(オプションみたいに)あらん限りのレバレッジのかかった投資、できればベンチャー・キャピタル流のポートフォリオがいい。
日常生活におけるバーベル戦略については下記のように書いています。
こうして書いてきたお勧めの行動には一つ共通したところがある。非対称性だ。有利な結果のほうが、不利な結果よりもずっと大きい状態に自分を置くのである。
つまりこういうことです。資産の多くは、安心して運用できる対象に賭けておきます(ドル建て預金など)。でも一部は、「有利な結果のほうが、不利な結果よりもずっと大きな」対象に賭けるべきです。株式でいうなら、ファンダメンタル面から見て割安でいながら(下値が限られている)、成長可能性が高かったり、多くの投資家が集まるバブルとなるようなテーマがある銘柄に賭けるのです。この戦略によって、安定を確保しながら、資産増加を狙うことができます。