守備を兼ねた稼ぎ方
株式投資には、”安く買って、高く売る”取引だけではなく、”高く売って、安く買う“稼ぎ方があります。先に株を証券会社から借りて売り、後から買い戻すのです。これを空売りといいます。買いで入る場合が、これから成長する!と思われる企業を狙っていたのに対して、空売りは、これから衰退する企業を狙うことが多いです。あるいは、何らかの理由で上がりすぎた株が元の位置に下がっていくのを狙うこともあります。
空売りは、証券会社から株を借りて行いますので、信用取引を申し込んでいないとすることができません。信用取引を行うには、十分な知識や経験があるかどうかなどの審査基準がありますので、株を始めたばかりの人は、当面行わなくてもいいかと思います。[adsense]
マーケット全体の下げに対する保険として空売りを使う
株式市場には、上げ地合と下げ地合があります。地合というのは、簡単にいうとそのときの市場のムードです。上げ地合では、あまり経営状況がよくない株も含めて、多くの株が上がります。一方、下げ地合では、経営状況のよい優良株も含めて、多くの株が下がってしまいます。
空売りは、株価が下がることで利益を得る稼ぎ方ですので、下げ地合対策として、空売りをしておくのは有効な手段です。あとで説明しますが、このとき空売りをしておくべきなのは、大きく踏みあげられることのない大型株(時価の大きな株)です。他にも、下げ地合に対する対策法には、インバースを買っておくなどの手段があります。これについては別途説明したいと思います。
空売りは、損失の上限が無限大で利益の上限が限定的。踏み上げに気をつけよう!
買いの項で書いたように、買いは、利益の上限が無限大で、損失の上限は限定的です。それに対して空売りは、損失の上限が無限大で、利益の上限が限定的で、買いとは逆になっています。
例を挙げますと、100万円で空売りした株の株価が、10倍になったとします。このとき、損失は900万円です(100万円で空売りして、1,000万円で買い戻す。100万円-1,000万円=△900万円)。投資資金の9倍の損失です。一方、空売りをかけた企業が倒産するなどして、株価が1円になったとします。そのときの利益は約100万円で、投資資金とほぼ同額が利益の上限となります。空売りが買いに対して、分が悪いということを理解していただければと思います。
さきほどの例では、株価が10倍になり、投資資金の9倍もの損失を負う例をあげました。株価が10倍になるようなことなんてめったにないのではないか?と思う方もいらっしゃるかもしれません。確かに時価の大きな企業の株価が短期間で10倍になることはまずありません。しかし、資金力のある買い手は時価の小さい小型株ならば、大量に買い注文を入れて株価を何倍にも急騰させることができます。
空売りがたまった小型株をねらって、買い注文を大量にいれて株価を急騰させ、空売りの買戻しを狙い撃ちする仕手筋も存在します。仕手筋というのは、企業の本来の価値とは無関係に、資金力にものをいわせて、株価を急激に持ち上げたり下げたりする存在です。ですので、一気に資産を失う可能性のある小型株の空売りは避けるべきなのです。株式市場には、「買いは家まで、売りは命まで」という格言があります。これは、買いでは損をしても家を失う程度で済みますが、空売りの損失は命に至るレベルのものだという意味です。