配当の仕組み
配当とは、どのようなものなのでしょうか?まず、基本的な仕組みを説明したいと思います。企業は、さまざまな経済活動をしてお金を稼ぎますが、そのお金をすべて自分のものにできるわけではありません。仕入れ先に仕入れ代金を支払い、従業員に給料を支払い、電話代やオフィスの賃料などの費用を支払います。銀行からお金を借りている場合は、利息を払い、決められた期日に借入金を返済します。さらに、政府に対して、税金を支払います。[adsense]
これらすべてを支払って、残ったお金の中から、今後の経済活動を維持/発展させていくための投資資金を確保します。それでも残ったお金を株主に配当として支払うのです。株主が利益を得るのは、一番最後、と覚えておきましょう。
株式取引においては、安く買って高く売ることで得られる譲渡益で稼ぐことが基本だと書きましたが、配当をもらうことで稼ぐこともできるのです。株価が値上がりして、さらに配当ももらえると最高ですね。
どうすれば配当をもらえるか?
さて、それではどうすれば配当をもらうことができるのでしょうか?それは、企業の権利確定日の最終営業日の三営業日前(権利付き最終日といいます)に株式を保有することで配当をもらう権利が生じます。権利付き最終日の営業時間中に売却すると権利はもらえません。配当をもらうには、権利付き最終日に市場が閉まるまで株式を保有する必要があります。
権利確定日は、3月末決算企業であれば、3月の最終日となります。権利確定日が金曜日の場合と土曜日の場合、日曜日の場合で、権利付き最終日がどのように変わってくるかを下の表に示しました。
金曜日の場合 | 土曜日の場合 | 日曜日の場合 | |
---|---|---|---|
権利確定日 | 3月31日(金) | 3月31日(土) | 3月31日(日) |
最終営業日 | 3月31日(金) | 3月30日(金) | 3月29日(金) |
権利付き最終日 | 3月28日(火) | 3月27日(火) | 3月26日(火) |
配当は年に一度出す企業もあれば、半期ごとに配当を出す企業、四半期ごとに配当を出す企業もあります。企業の業績が悪く、配当を支払う余裕がない場合は、配当がでません。
権利付き最終日付近に株価はあがり、権利付き最終日経過後株価はさがる傾向にある
配当や、この後説明する株主優待をもらうために、権利付き最終日が近付くと、株価は買われやすくなり、上がる傾向があります。また、権利付き最終日が過ぎると、配当をもらう権利をすでに得たので、株が売られ、株価が下がる傾向があります。この傾向を利用して、株式の値上がり益を稼ぐことも可能でしょう。配当狙いで株が買われだす前に株を買っておき、権利付き最終日の直前で株を売るという方法です。銘柄によっては、この方法で、配当以上の値上がり益を稼ぐことも可能です。各企業の権利付き最終日付近の値動きを確認してみましょう。
配当を出さない企業が悪い企業だとは限らない
株主の立場からすると、配当はもらえないより、もらえた方がうれしいものです。しかし、さきほど書きましたが、配当を支払うことは、新たな成長のための投資資金を削ることでもあります。
成長段階にある企業は、稼いだお金で配当を支払うよりも、さらなる成長に資金を投資した方がいい場合も多いのです。これによって、将来受け取れる配当額がより増えるのであれば、配当は出さないほうがいいのです。これまで、配当を出してこなかった成長企業が、配当を出すようになると、成長段階から安定段階に入ったものとみなされて、市場からの評価が下がることもあります。
配当は株価が下がるのを防ぐ緩衝剤の役割を果たす
成長企業が配当を出さないのは、必ずしも悪くないと上に書きましたが、市場全体が下がる下げ地合のときに、売られにくいのは配当を出している企業です。配当金額÷株価を配当利回りといいますが、配当利回りが高ければ高いほど、一般的に株価は下がりにくくなります。現在の日本市場では、配当利回りは4~5%あると高い方です。銀行預金の利回りが0.5%に満たないのに比べるとかなり高い利回りですね。高配当企業の株は、守備に強い銘柄といえるでしょう。