新規上場株の割安さを見る時はEPSに気をつけろ

株式の割安さを測る簡単な指標としてPERがある。計算式は株価÷一株当たり利益(EPS)である。

このEPSが正確に把握できていないと、PERの計算結果も間違えてしまう。

新規上場した企業の短信の載っているEPSは、実態からかけ離れた数値になっていることが多いので注意しなければならない。実態とは、期末の株式数で利益を割って算出したEPSである。

決算短信のEPSの計算式は、当期純利益÷期中平均株式数である。上場時には、たいてい株式を新規発行しているので、この期中平均株式数と、期末の株式数には大きなズレがあることが多い。

たとえば上場前の株式数が100万株で、上場時に100万株増資したとする。12月決算で、11月に上場したとすると、期中平均株式数は100万株+100万株×1/12で、約108万3千株となる。予想された利益が6億円だとすると、EPSは554円となるが、期末の株式数で計算し直すと、EPSは6億円÷200万株=300円となり、決算短信上のEPSと実際的なEPSには大きな差が生じる。

株価はPER10倍程度が適当だと認識している投資家が、短信上のEPSを使用すると、株価5,540円まで許容できることになるが、実態上のEPSを使用すると株価3,000円までしか許容できないことになる。

なので新規上場株に投資する際は、増資後の株式数を使ってEPSを計算し、PERを見るべきである。

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