企業の重要事項は株主の多数決で決める
株式を保有すると、その企業の意思決定に参加する権利を与えられます。企業の重要事項に関する決定は、株主の多数決で決められます。[adsense]
この多数決が通常の選挙と異なるのは、一人一票ではなく、株式をたくさん持っている人は持っている分だけ決定に影響力を与えられる点です。企業の株式をたくさん保有すればするほど、重要事項についての決定権を握ることができます。それぞれの株式保有比率でどのようなことができるのか見ていきましょう。
議決権保有割合と権限の例
1%以上(6か月以上保有)
総会検査役選任請求権・・株主総会を正常に行わせるための検査薬選任を請求する権利です。
1%以上もしくは300個以上(6か月以上保有)
株主提案権・・株主総会の議題を提案する権利です。
3%以上
業務財産検査役選任請求権・・企業の業務遂行上不正があった、または重大な法令違反があったと疑うに足る場合に会社の業務・財産の状況を調査する検査役の選任を裁判所に請求できる権利です。
会計帳簿閲覧請求権・・会計帳簿の閲覧やコピーすることを請求できる権利です。
3%以上(6か月以上保有)
総会召集請求権・・株主総会の招集を請求できる権利です。
役員の解任請求権・・職務行為遂行上不正があった役員や、重大な法令違反をおかした役員の解任議案が株主総会で否決された場合に、裁判所に役員の解任を請求できる権利です。
10%以上
解散請求権・・会社の業務執行の状況がよくないとき、財産の保管の状況がよくないときに会社の解散を請求できる権利です。
50%以上
取締役の選任・解任
監査役の選任
会計監査人の選任・解任
配当など剰余金の分配
法定準備金の減少
66%以上
会社合併・分割など組織再編
事業の全部譲渡
定款変更
監査役の解任
新株などの有利発行・・既存株主にとって不利になる条件で新株を発行することです。
資本金の額の減少
会社の解散
上記の権利のうち、50%以上のものを普通決議、66%以上のものを特別決議を呼びます。自分だけでなく、他の株主と合わせて、それぞれ50%以上、66%以上の多数を占めることができれば決議されます。逆にいうと、他の株主が自分の意に合わない特別決議をするのを防ぐには、一人で34%以上の株式を保有すればよく、普通決議を防ぐには50%以上の株式を保有すればいいことになります。
株主間で意見の相違がある場合はプロキシファイトとなる
株主間で意見の対立があり、かつ株式保有比率が単独で50%または66%に満たない場合、他の株主の委任状(proxy)をめぐって争いとなります。これをプロキシファイトと呼びます。
主な意見の対立は、役員の選任、増配、会社合併、定款変更、買収防衛策に関するものです。
種類株を導入して議決権を守る
株式の権利の内容が異なる種類株式を導入することで議決権を確保することがあります。
ロボット開発をてがけるサイバーダイン(7779)は、通常の議決権をもつA株と10倍の議決権を持つB株の種類株を導入しています。これにより、創業者の山海氏の株式保有比率は40%強程度ですが、議決権は80%超となっています。