四季報巻頭ランキングを見て銘柄選定に役立てよう!
前回は、四季報の各企業の記事を見るコツを説明したのでした。
四季報には、各企業の記事以外にさまざまな観点から、銘柄をスクリーニングした巻頭特集があります。有望な銘柄を選ぶ際に、この巻頭特集はとても役にたちますので是非目を通しましょう。どのような内容の特集があるのか見ていきましょう。[adsense]
前号予想比増額率ランキング・・四季報は、記者が企業の業績について毎号予想を立て直しています。このランキングは、記者の作成した業績予想(営業利益ベース)が、前号の業績予想に比べて増額した企業のランキングです。このランキングの中から、まだ業績予想の変化が株価に織り込まれていない銘柄を探すといいでしょう。銘柄を選定する基準は予想PERとチャートを併用するのがいいと思います。
高進捗率ランキング・・企業の業績が、通期の見通しに対してどの程度進捗しているかのランキングです。高進捗率の企業が、そのまま好業績を維持できれば業績予想を上方修正する可能性が高いです。チャートを確認して、高進捗率が株価に織り込まれているかどうか確認しましょう。前回の決算発表から、チャートが上がっている場合、すでに高進捗率が織り込まれている可能性が高いです。
営業増益率ランキング・・今号の営業利益予想と前期の営業利益実績を比較して、増益している企業のランキングです。企業の本業の実力を表す営業利益が伸びているということは、企業が成長しているということです。このランキングから成長企業で、かつ割安と思える銘柄を探しましょう。割安かどうかは予想PERを参考にします。
設備投資増額率ランキング・・現時点と期初を比べて設備投資予定額を増加させている企業のランキングです。設備投資を増額させるということは、企業に成長する見通しがあるということになります。数年後に設備投資が実り、業績を拡大させるかもしれません。
低PERランキング・・今期予想PERが低い企業のランキングです。PERが低いということは、収益ベースでその企業の株が割安だということです。来期以降の業績予想や、同業他社のPERも参考にして、割安な銘柄を探しましょう。
低PBRランキング・・PBRが低い企業のランキングです。PBRが低いということは、その企業の資産に対して株価が割安だということになります。企業の業績や配当利回りも併用して、割安に放置されている企業を探しましょう。
月別予想配当利回りランキング・・配当権利月ごとの配当利回りランキングです。配当を年数回に分けて出している企業もありますが、このランキングは1回分の配当金額をもとに計算しています。四季報作成時点の株価および配当予想金額と、現在の株価および配当予想金額の間には変化が生じているので、実際に株を購入する前に、あらためて配当利回りを計算しましょう。
実質配当利回りランキング・・優待+配当の利回りランキングです。優待は、自分で使える、もしくはヤフオクやチケットショップで換金できるものを選びましょう。
上記のランキングは、証券口座の四季報からは見られませんので、参考にしたい場合は、紙の四季報を購入しましょう。
四季報は巻末の特集も見逃せない!
巻頭だけでなく、巻末にも四季報は充実した資料を載せています。直近の四季報では下記のような特集が載っていました。
各社の想定レートと為替感応度・・各企業が業績予想を作成した際に、為替レートをいくらに想定したのか、1円円安になった場合、業績にどれくらい影響があるのかを記載しています。企業の想定レートと実際の為替に差異がある場合は、業績が上振れもしくは下振れします。
各社のROEと配当性向目標・・各企業の株主還元の度合いをあらわすROEと配当性向目標が記載されていました。これらが高いほど、その企業は、株主に利益を還元する意思があるといえます。
上記のほかにもさまざまな役に立つデータが載っていますので、株で勝つために四季報を有効利用してみてください。
四季報の字が小さすぎると思う場合は、ワイド版もありますのでそちらを検討してみてください。
四季報オンライン
四季報にはオンラインページもあります。こちらから、各種連載やニュース、四季報の概要を見ることができます。
有料会員になると次の情報にアクセスできるようになります。会員料は、コースに応じて、月額1,080円~7,020円です。
- 業績予想の更新
- 四季報記事の先行配信
- 有料会員向け特集記事
- 過去4号分の四季報バックナンバー
- 各種指標を用いたスクリーニング(経常益上方修正、当期利益上方修正、来期増益率、PER、PBRなど)
- 投資適格度をあらわすスコア
- 役員の経歴
- 四半期ごとの業績
- 株主検索
紙の四季報にも各種ランキングが載っていますが、株価は日々変わっているので、現在のランキングとは差異があります。その点、四季報オンラインのスクリーニングは、現在の株価を用いているのでより有用です。また、四季報の記事を、一部先行して読めるという点も長所です。四季報の記載内容がよかった銘柄は、四季報発売後上がりやすいからです。
四季報プロ500
四季報プロ500は、四季報と同時に発売されるA4版の雑誌です。四季報がすべての上場企業を対象にしているのに対して、四季報プロ500は、優良上場企業を500に絞って紹介しています。カラーで文字が大きくみやすいので、四季報よりもカジュアルな印象です。
こちらも、四季報とは別の各種特集を掲載しており、銘柄選定の役に立つと思います。直近の四季報プロ500では、下記の特集がありました。
- <設備投資攻勢><研究開発増強><連続増配>をテーマにしたランキング
- <外国人持株比率上昇><低PBR><配当+優待高利回り>をテーマにしたランキング
- <連続最高益><大幅増益><V字回復>をテーマにしたランキング
- <黒字化><復配期待><久々の最高益>をテーマにしたランキング
- 独自試算GPIFで買われる銘柄ランキング
などです。巻末には、全銘柄の理論株価が載っています。この理論株価をもとに、割安銘柄を探すのもいいと思います。
会社四季報CD-ROM
四季報は、CD-ROM版もあります。
CD-ROM版の特徴は、複数の指標を組み合わせて、四季報データをスクリーニングできる点です。たとえば、「PERが10倍以下で、配当利回りが2%以上」のような銘柄を探すこともできます。
他に、キーワード検索もすることができます。たとえば「ロボット」という語を記事中に含む銘柄を探すということができます。