初心者が株で稼ぐ

収益面での割安度をはかる指標PER

PERが進むべき道を示す

PERとは株価の相対的な割安・割高度を利益面から見る指標

PERの定義は 株価÷1株当たり利益(EPS) です。株価が1,000円で、EPSが100円であれば、PERは、10倍(1,000÷100)となります。

ここでいう利益は、仕入先への支払や各種費用の支払、借入金利息の支払、税金の支払などをすべて済ませた後の利益です。この利益は原則として、新たな成長のための投資にまわすか、株主への配当として支払われます。ですので、この利益は、株主のものだと言っていいでしょう。[adsense]

この仮定をもとに、とても単純化して説明すると、PERは株主の投資が何年で回収できるかを指し示しています。PER10倍であれば10年で投資が回収でき、PER20倍であれば20年で投資が回収できるイメージです。投資の回収は早ければ早いほどいいので、PERが低い方が、その株はお買い得(割安)だといえます。

高成長企業の株は、PERが高くても許容される

さきほどの例では、未来の利益も今と同じという前提になっていました。株価が1,000円でEPSが100円のとき、将来も同じEPSであるならば、10年(1,000÷100)で投資が回収できる、というイメージです。しかし、利益が成長している企業だとどうでしょうか?当初のEPSが100円で、EPSが毎年20%伸びていく企業を想定してみましょう。

EPSEPSの累計
1年後100円100円
2年後120円220円
3年後144円364円
4年後172円536円
5年後206円742円
6年後247円989円
7年後296円1,285円
8年後355円1,640円
9年後426円2,066円
10年後511円2,577円

わずか7年後にEPSの累計が1,000円を超え、投資資金が回収できてしまいました。さきほどの例が、10年で投資を回収できたのに比べて、はるかにいいですね。ここから、同じPERの銘柄が複数あった場合は、成長性の高い銘柄の方が価値があるといえます。また、当初のEPSが同じであっても、高成長企業であるならば、一般的に高いPERの株価が許容されます。上の表の企業は、10年間の累計で、2,577円の利益を回収できています。10年間で回収できる利益という観点に立つと、高成長企業の株価は2,577円であってもおかしくないのです。この場合のPERは、2,577÷100≒25倍となります。

高成長企業の株は、高PERであってもおかしくないと書きましたが、実際には、どれくらいのPERが妥当なのでしょうか?現在の日本の市場では、高成長企業であれば、PER15倍~30倍程度が適正だと思われます。逆にそれほど成長が見込めない企業の場合、PER5倍~15倍程度が適正だと思われます。

これは、各投資家によっても見解が違いますし、そのときの相場状況によっても変わってきます。さらには、配当の支払状況や、優待の有無、財務状態の健全さなども考慮されて株式は取引されるので、PERは指標の一つでしかありません。しかし、実際の株価が企業価値に比べて割安である株式を買い、株価が企業価値と比べて妥当なところまで上がってきたところで売る、という取引の基本を実行するにあたって、PERは非常に重要な指標です。

PERを計算する際、いつのEPSを使用するか?

さて、PERが株価の割安/割高を判断する際に、非常に重要な指標だということがわかりました。では、PERを算出する際に、EPSはいつの分を使えばいいのでしょうか?

それは、事業年度が始まったばかりであるならば今期の予想EPS事業年度が終わりにさしかかっているならば、来期の予想EPSを使うべきだと思います。

株価は、常に前を向いています。過去ではなく未来がどうなっているかを重視するのです。しかしあまりに遠い未来は不確定で、参考にしがたいものがあります。そこで、上述のかなり確からしい直近の未来のEPSを使用するのです。しかし、数年後の未来の成長が、かなり確実と思える場合は、数年後の予想EPSを使用してPERを計算してもいいと思います。来期のEPSは、会社四季報が予想を作成しているのでそれを参考にするといいでしょう。または、企業によっては、中期経営計画を作成しているので、そこから導出するのもいいかと思います。企業によっては、予想EPSを作成しないところもあります。その場合は、会社四季報などの第三者の予想値を使うか、近年の傾向や外部環境の変化を勘案して、自分で予想した数値を使います。

PERを計算する際は、企業ごとの保守的/強気傾向を考慮しよう

企業にはそれぞれ文化や気風、方針の違いがあり、保守的すぎる予想を出す傾向があったり、強気すぎる予想を出す傾向があったりします。その傾向に気付いた場合は、このバイアスを修正してPERを計算するといいでしょう。各企業が保守的か、あるいは強気かなどの傾向は、各企業の決算資料を継続して読んでいくことで把握していくことができます。

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